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『12月の猫と鼠』

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 私は、動物が大好きです。来年は子年。これは15、16年前のお仕事のネズミ。当時は、JALや、理想科学や、あちこちのカット仕事に登場していた、大活躍のネズミくんでした(干支の年賀状にも)。今回も少し加筆、ネズミくんにはそろそろ来年の為に、起きて身支度を始めてもらいましょう、一年間、頑張ってね。/ 本当のことを言えば、いい猫が描きたくて、過去の幼児関連雑誌に描いた動物仕事を、さかのぼって探していたのです...が。はて。「猫」と「ネズミ」...とな?/トムとジェリーではなく、ふと、或る本を思い出し、棚を探してみたのですが、これが...なにせ本が多くて探せず、意外な大苦労。こうしてまた当初の目的からはどんどん逸脱し、無為なる時間を費やしてしまうのです、あーあ。
 というわけで、『猫と鼠』。昭和52(1977)年版、集英社文庫のもの。表紙の絵は新井苑子さん。戦時下のドイツの少年たちを描いた物語で、自身の心情的自伝でもあるらしい、ダンツィヒ三部作の一つとあります。そう、あの、『ブリキの太鼓』の作者、偉大なるギュンター・グラスの著書です。古い本の匂い。高木研一さんによる訳文はアイロニーに満ち、出版当時の昭和の時代には、そう違和感も感じなかった、ややシニカルな文体の語り口-----これは、なんとも懐かしき世界観。そんな雰囲気を堪能しつつ、久しぶりにページを繰りました。映画のよう。いや、マジで面白い。

 私にとって、12月は、疑いもなく楽しい月です。どうしてなんだろう。教会もたぶん、中学1年生のころまで通ってた日曜学校が最後...。なのに、こんな年齢になっても、孤独な狭小部屋の一角に、怪しげで雑駁なるツリーなんかを飾っちゃってさ・苦笑。なんだかな。/ -----もちろん、毎年、とても悲しいことも起きているのですが、一年の終わりのこの頃には、なぜか、「良い一年だった」と感じられる自分がいて。このことだけは、全く、自分でも不思議なことです。
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 昨今は、お仕事も含め、何かというとすぐSNSに書き込んでは済ませてしまうせいでしょうか、結果、ここが、怠けがちなブログになってしまっているのですが(アクセス数に恐れ入っております)、皆さまには、今年も一年、大変お世話になりました。いつも拙い文をお終いまで読んで頂き有難うございます。どうか、心安らぐ平穏な年末年始でありますように。 #櫻井砂冬美













by 619sak | 2019-12-05 09:12 | 作品
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